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Core Coursesについて

今回はFall-2の授業内容についてです。

 

SOMCore Coursesの特徴は、Fall termの後半(Fall-2)からSpring termまでの3 quarterを通じて行われる授業を“Organizational Perspectives”と位置付けていることにあります。12月でFall-2を終えたわけですが、授業は“Customer”、“Competitor”、“Investor”、“State & Society”という4科目でした。“Organizational Perspectives” の名前の通り、ビジネスに関わるステークホルダーの各視点から学ぶことになります。とはいえ、授業のコンテンツそのものは、一般的なビジネススクールと基本的には異ならないと思われます。他のスクールでは「マーケティング」や「ファイナンス」、「ミクロ経済学」や「ゲーム理論」などの授業で扱う内容を学ぶことができます。何が他と違うのかと言うと、コンテンツ自体は同じでも、そのコンテンツを使った授業の組み立て方が他とは違う、ということだと思います。例えば、ミクロ経済学の理論を「経済学の授業」として学ぶのではなく、「競合他社より優位に立つための知識としてミクロ経済学の理論や会計の知識が使える」というストーリーで学んでいくことになります。さらに、個々の授業の中には社会課題の解決というSOMならではのエッセンスが随所に組み込まれています。また、実践的な学びを重視する姿勢は、SOMのもう一つの特徴でもある“Raw Case”にも通じています。“Raw Case”については改めて記事を作成する予定です。

 

以下、Fall-2の4科目について概要を簡単に記載します。

 

Competitor:不完全競争市場(寡占または独占)における企業の行動について、主にミクロ経済学の理論を学びます。加えて、5フォース分析を使った市場分析や、アカウンティングの知識を使った企業の比較分析も行います。基本的に、競合他社より優位に立つということを念頭に置いて話が進められますが、最後にはCoopetitionという、競合との価値共創という概念も学びます。

 

Customer:顧客の行動に着目した授業内容で、ほぼマーケティングに相当する内容です。フレームワークを使った顧客分析に基づく自社のポジショニングや、カスタマージャーニーの各ポイントに応じた広告(特にデジタルの活用)などを学びます。

 

Investor:ポートフォリオ理論やCAPMなどファイナンスの基礎を学びます。ケースを使わずに、理論をテンポよく学んでいきます。他の授業は定性的な内容も多い一方で、この授業はすべて定量的な内容ですので、比較的理解しやすいと思います。

 

 

State & Society:ビジネスと社会の相互作用について学びます。特に、市場を補完する行政の役割と、ビジネスに影響を与える政策を学んでいくことになります。例えば、男女間の賃金格差は、女性が子育てをするというSocial Norm(社会側の問題)と、長時間労働に対して高い対価が支払われる労働システム(ビジネス側の問題)に起因するという説があります。Social Normを変えるためにどうすべきかですが、同授業でCorruptionについて学ぶ時に、Social Normを変えるにはゲーム理論が適用できることを学びます。このように、ビジネスだけでも、行政だけでも解決できない課題に取り組むというSOMらしさが体験できる授業です。